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2018.11.07スタッフブログ

今月お薦めの1枚: ジャズ・ヴォーカル編~カーリン・クローグ”サム・アザー・スプリング”

今月のジャズ・ヴォーカルのお薦めの1枚は、ノルウエー出身のジャズ・ヴォーカリスト カーリン・クローグの代表作の一つ「サム・アザー・スプリング、ブルース・アンド・バラード」です。

カーリン・クローグは1937年にノルウエーのオスロに生まれました。 10代からジャズ・ヴォーカルに深い興味を持ち、オスロのジャズ・クラブでのジャム・セッションなどに参加して次第に注目を集め始め、18歳の頃には既に地元のプロのバンドから誘われジャズのスタンダード曲を歌う演奏活動を行うくらいになっていました。 その後、自分自身のバンドも結成しプロとしての活動を続けていましたが、25歳の時にアメリカ人声楽家アン・ブラウンと出会い彼女のレッスンを受けるチャンスを得たことが、その後のカーリン・クローグのジャズ・ヴォーカリストとしての大きな転機になりました。                 アン・ブラウンはニューヨークのジュリアード音楽院に入学を認められた当時としては最初のアフロ・アメリカン系学生で、その後は作曲家ジョージ・ガーシュインに声楽家としての才能を認められ、ガーシュインのオペラ代表作の一つ「ポギーとべス」の初演でべス役を努めた程の実力派ソプラノ歌手でした。 しかし当時人種差別がまだまだ激しかったアメリカを逃れ、オスロに移住していました。 そしてこのアン・ブラウンにオスロで7年間レッスンを受けることになりましたが、この師との出会いがその後のカーリン・クローグにとって、世界的にも高い評価を得ることになったヴォーカリストとしての力量の礎を築く大きな要素の一つになったと思われます。

その後は主にノルウエーの人気リズム&ブルースバンド 'パブリックエミニーズ’のヴォーカリストとしての活動を続ける一方、地元やヨーロッパの多くのジャズ・アーテイストとも共演を重ね、1964年のフランス、アンティーヴ・ジャズ祭で遂にジャズ・ヴォーカリストとしての世界デヴューをしました。

そして1967年にはアメリカの著名トランペッターで自身のビッグバンドも率いて活動していたドン・エリスの進めで渡米し、アメリカでの本格的なジャズ・ヴォーリストとして活動を、ドン・エリスやクレア・フィッシャーらとの共演することを皮切りに開始しました。 また1970年にはアルバート・マンゲルスドルフ、ジョン・サーマンら欧州アーティストと共に、この年開催された大阪万博での公演のために初来日を果たしています。 その後もデクスター・ゴードン、アーチー・シェップ、ケニー・ドリュー、ポール・ブレイ、レッド・ミッチェル等のアメリカの著名ジャズ・アーティストや、オスカー・ニルス・エルステッド・ペデルセンやヤン・ガルバルクらヨーロッパを代表するジャズ・アーティストとも共演しています。        また1994年にはノルウエー人アーティストとしては初めて、アメリカの名門ジャズ・レーベルの一つ Verveと契約しアルバムをリリースしています。

カーリン・クローグはこの様に音楽的に幅広い経歴や、様々なアーティストの共演を経て、ジャズのスタンダード・ヴォーカルはもちろん、器楽的な若しくは前衛的なアプローチも得意とし、ヨーロッパ屈指の実力派ジャズ・ヴォーカリストとしての独特の存在感で、ヨーロッパだけでなく世界中で多くのファンを持っており、これ迄も数多くのアルバムを残していますが、今月はその中から、アルバム「サム・アザー・スプリング~ブルース・アンド・バラッズ 」をご紹介したいと思います。

 

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カーリン・クローグ


サムアザースプリング、ブルース・アンド・バラッズ


Karin Krog


Some Other Spring, Blues And Ballads


 


1970年にカーリン・クローグの母国ノルウエーで録音されたこのアルバムは彼女の代表作の一つと言われており、テナーサクソフォンには、当時アメリカを離れデンマークやフランスを拠点に活動していたデクスター・ゴードン、ピアノには同じくデンマークに拠点を移し活動していたケニー・ドリュー、ベースには、デンマーク生まれで当時既にアルバート・アイラーやローランド・カーク等巨匠達との共演で世界的注目を集めていた超絶技巧ベーシスト オスカー・エルステッド・ニールス・ペデルセン、そしてドラムにはカーリン・クローグと同じノルウエー生まれで、チェット・ベイカー等著名アーティストとの共演で注目されていたエスペン・ラッドと豪華なメンバーばかりが共演しています。


収録曲は全12曲(1970年発表当初はLPでのリリースだけでしたので、一番最後の3曲が割愛され全9曲)で、スタンダード曲とジャズ・アーティストのオリジナル曲から構成されています。

一曲目の 「サム・アザー・スプリング:Some Other Spring」は、アメリカのヴォーカリスト兼作曲家で、名ピアニスト テディ・ウイルソンの元妻でも知られているアイリーン・キッチングスが、1930年代に当時親交の有ったビリー・ホリデーのために書き下ろした曲。ビリー・ホリデーが気に入り生涯歌い続けた後も、この曲はエラ・フィッツジェラルドやアニタ・オディなど多くの名ヴォーカリストの名演で知られていますが、このアルバムでは、カーリン・クローグはこれらヴォーカリストとは違った解釈で、テナー・サクソフォンのデクスター・ゴードンとの絶妙な掛け合いで歌唱を繰り広げています。デクスター・ゴードンのファンでこのアルバムを彼を目当てに買ったら、いきなりカーリン・クローグの1曲目のこの曲のヴォーカルをすっかり気に入ったと言う人も数多くいる様です。

その他、ボサノバの名曲「ハウ・インセンシティヴ:How Insensitive」や、ピアニスト セロニアス・モンクの作曲したブルースの名曲「ブルー・モンク:Blue Monk」、そしてスタンダード曲の一つの「Shinny Stockings:シャイニー・ストッキングス」等もカーリン・クローグならではの独自の解釈で歌っています。

このアルバムではその他にも、ピアニストのケニー・ドリューが珍しくオルガンを演奏している「ブルー・アイズ:Blue Eyes」やデクスター・ゴードンがこれも珍しくヴォーカルを披露し、カーリン・クローグと掛け合いをしている「ジェリー・ジェリー;Jelly Jelly」、そして往年の名歌手で、カーリン・クローグが影響を受けた一人と言われているジミー・スコットに捧ぐと表された「I wish I know」も収録されており、当音楽院BarBarBarでジャズヴォーカルやジャズサクソフォン、ジャズピアノ、ベース、ドラムのレッスンを受けている方、そしてこれから当院でヴォーカルやこれらの楽器のレッスンを受けようと思っていらっしゃる方に、このアルバムを参考用に是非お薦めしたいと思います。

<収録曲リスト>


1.Some Other Spring 2. Blue Monk 3. How Insensitive 4. Blues Eyes  5. Jelly Jelly 6. Tribute To Jimmy Scott-I Wish I Knew 7. Everybody's Somebody's Fool 8. Shiny Stockings 9. Ode To Billie Joe    10. Some Other Spring (Alternate Take) 11. Blue Monk (Alternate Take)  12. Shiny Stockings (Alternate Take)

 

 

 

 
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