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2020.05.25スタッフブログ

今月お薦めの1枚: ジャズ・ヴォーカル編~アン・バートン「コレクション」

今月お薦めの1枚~ジャズ・ヴォーカル編は、1950年代後半から1980年代後半迄の約30年間、ジャズ・ヴォーカリストとして活躍したアン・バートンが、1976年43歳の時に発表し、ジャズ界で高く評価され、若くして亡くなったアン・バートンが生涯で遺した20枚近いアルバムでは名盤の一つとして称されることも多いアルバム『コレクション(Collection)』を選びご紹介したいと思います。

アン・バートンは1933年にオランダで生まれました。出生名はヨハンナ・ラファロウィッチ(Johanna Rafalowicz)で、ポーランドからの移民の母親と、母親がオランダで出会い再婚した相手との間に生れました。 両親ともにユダヤ系で有ったため、第二次世界大戦中は、ナチス・ドイツのユダヤ人迫害で両親は収容所に送られ、アン・バートン自身もオランダ国内で隠遁生活を強いられ、長くて辛い受難の日々を送った様です。ただ両親もアン自身も幸運にも生き延び、終戦後に生活が落ち着き始めたころから、歌のレッスンは受けていなかったものの、ドリス・デイ、ジョー・スタッフォード、エラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーンら当時アメリカだけでなく世界中で人気を博していたジャズ・ヴォーカリストのレコードを熱心に聴いていた様です。その内にヴォーカリストになりたい思いを抱く様になり、本名のヨハンナ・ラファロウィッチからアーティスト名を、当時憧れていたイギリス人俳優リチャード・バートンの 名前にちなみアン・バートンにして、本格的に音楽の道を歩み始めることになります。

そして1950年代中頃から、ローカルのジャズのコンボ・バンドでボーカリストとしての活動を開始し、その内に、当時ドイツに駐留していたアメリカ軍の兵士のためのクラブで演奏していたジャズのビッグ・バンドの専属ヴォーカリストとして活動をする様になり、次第にジャズ・ヴォーカリストとしての実力を認められて行きます。そしてスヘフェニンゲン等オランダ国内の著名リゾート等でも演奏活動を続ける内に、1958年25歳の時には、オランダの当時人気サクソフォン奏者ピエト・ノーディックから誘われ、スペインやモロッコ等に初の国外演奏ツアーも行います。

60年代に入り、アン・バートンはArtoneと言う、当時オランダでは有力なレコード・レーベルのディレクターから才能を認められ、1967年に同レーベルから初アルバムとなる『ブルー・バートン(Blue Burton)』を発表します。このアルバムでは、後に国際的にも名声を博す同じオランダ人ピアニスト ルイス・バン・ダイクの好演・サポートにも恵まれ、このデビュー・アルバムで、アン・バートンの人気は一気に高まり、その後も同レーベルから70年代初めにかけ数枚アルバムを発表し、名声を確立していきます。

そして1973年には初来日を果たし、佐藤允彦や稲葉国光等の日本人トップ・アーティストとも共演し、またアルバム『ミスティ・バートン(Misty Burton)』も制作したりし、日本でも幅広い人気を得ることになります。

1970年代後半には活動の拠点をニューヨークに移しますが、ここでもアン・バートンは高い評価を得て、著名ジャズ・アーティストのドラマー グラディ・テイト、ベーシスト バスター・ウイリアムス等とも共演し、数枚のアルバムを制作・発表します。 その内の数枚は、アン・バートンの実力を評価していたジャズ・ボーカルの大御所 ヘレン・メリルがプロデューサーを務めています。

そして1980年には、当時アメリカで絶大な人気を誇っていた歌手ビリー・ジョエルのヒット曲をカバーし、タイトルにもした『ニューヨークの想い(New York State of Mind)』制作・発表し、高い評価を得て、このアルバムは各界の優れた功績を表彰する、発明家エジソンに因んで制定されているエジソン賞を受賞しました。

また1980年代後半には、アン・バートンは自身のレコード・レーベルBurtoneを設立し、このレーベルからも数枚のアルバムを発表する一方、母国オランダの名門音楽学校の一つ、アムステルダム音楽院で後進の指導にもあたっていました。しかし残念なことに、この様にジャズ・ヴォーカリストとしての演奏活動、指導活動とも絶頂期を迎えていた1989年に喉頭がんにより、56歳の若さで亡くなりました。

今回ご紹介する『コレクション(Collection)』は、アン・バートンが1967年にデビュー・アルバム『ブルー・バートン(Blue Burton)』を発表した時と同じオランダの有力レコード・レーベルArtoneから1976年に発表され、このアルバムでも、デビュー・アルバムで好演した著名ジャズ・ピアニスト ルイス・バン・ダイクを始め、欧州の多くの実力派アーティストのサポートを得ることができ、完成度の高い仕上がりになっていると思われます。

 

無題



アン・バートン


Ann Burton


コレクション


Collection


このアルバムはアン・バートンが、1976年43歳の時に発表したアルバムですが、1973年に初来日を果たし、日本でも幅広い人気を得た後に、活動の拠点をニューヨークに移そうとしていた言わば絶頂期の録音で、1950年代半ばにデビューして以来、歌い続けて来たジャズのスタンダード曲を中心に選曲され、アルバム・タイトル『コレクション(Collection)』にも示されている通り、アン・バートンのそれ迄の20年近いジャズ・ヴォーカリストとしての活動の一種の集大成的な構成になっていると思われます。

多くのジャズ・ヴォーカリストに歌われている「いそしぎ(The Shadow of Your Smile)」「捧げるは愛のみ「I Can't Give You Anything But Love」「Someone to Watch Over Me」「But Not for Me」等のスタンダード曲や、ブロードウエイ・ミュージカルの劇中歌でmフランク・シナトラ等が歌いヒットした「Here's That Rainy Day」そして1930年代に作曲され、ビング・クロスビーら多くのジャズ・ヴォーカリストに歌われ、その後著名ソウル・シンガー オーティス・レディングや人気ロック・バンド スリー・ドッグ・ナイトが歌って再びヒットとなった「Try a little tenderness」等全13曲が収録されており、全編比較的ゆったりしたテンポのアレンジの構成で、バラードを得意としたアン・バートンが、伸びやかに且つ情感豊かに歌っていることを聴くことが出来ます。

BarBarBar音楽院は、長年ジャズの街横浜で現役一流ジャズ・アーティストの講師陣によるレッスンを提供して参りましたが、今当院でジャズ・ヴォーカルや、ジャズ・ピアノ、ジャズ・サクソフォン、ジャズ・ドラム等のレッスンを受けてけている方、そしてこれから当院でこれらのレッスンを受けようと思っている方には、このアルバムはジャズのスタンダード曲も数多く収録されていますので、参考用に是非お薦めしたいと思います。

<収録曲>

1.I Can't Give You Anything But Love

2.Go Away Little Boy

3.In the Wee Small Hours of the Morning

4.Sunny

5.A Lovely Way to Spend an Evening

6.Try a little tenderness

7.That Old Devil Called Love

8.The Shadow of Your Smile

9.Someone to Watch Over Me

10.But Not for Me

11.You've Changed

12.Good Life
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