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2020.10.28スタッフブログ

今月お薦めの1枚: ジャズ・ヴォーカル編~シャーリー・ホーン「アイ・リメンバー・マイルス」

今月お薦めの1枚~ジャズ・ヴォーカル編は、1950年代末から2000年代半ば迄、半世紀近くにもわたり、ジャズ・ヴォーカリストとして活躍していたシャーリー・ホーンが、1998年64歳の時に発表してジャズ界で高く評価され、71年の生涯で遺した40枚以上のアルバムでは名盤の一つとして称されることも多いアルバム『I Remember Miles(アイ・リメンバー・マイルス)』を選びご紹介したいと思います。

シャーリー・ホーンは1938年に、合衆国の首都ワシントンD.C.で生まれました。アマチュアのオルガン奏者で有った祖母の影響を受け、シャリー・ホーンは4歳でピアノのレッスンを始めると直ぐに音楽的才能を発揮し、12歳の時には早くも地元のハワード大学でピアノと作曲を学ぶことになります。その後、周りの関係者から、ニューヨークの名門ジュリアード音楽院への進学を勧められますが、家族の経済的事情でこれを断念します。

しかし、その後シャーリー・ホーンは、20歳のときに最初のジャズ・ピアノトリオを地元ワシントンで結成し、本格的に音楽活動を開始します。この頃のピアノ演奏では、エロル・ガーナー、オスカー・ピーターソン、アーマッド・ジャマル等の影響を受けていた様で、幼少からクラシカル・ピアノを学んでいたシャーリーは後に「オスカー・ピーターソンが私のラクマニノフになり、アーマッド・ジャマルが私のデビュッシーになった」と語っています。この頃は、ワシントン市内のUストリートと呼ばれるジャズ・クラブが多く有る地域で、まだこの種クラブで働くための法定年齢になる前だったのですが、活動を始めていた様です。

シャーリー・ホーンはその頃から既にジャズ・ピアノとジャズ・ボーカルの両方で非常に才能を感じさせる弾き語り演奏をしていた様で、ワシントンで彼女が演奏していたクラブを丁度訪れていた、ニューヨークに有ったレコードレーベルStere-O-Craft の担当者は、彼女の演奏をたいへん気に入り、直ぐにシャーリーをニューヨークに連れて行き、ファーストアルバム’ Embers and Ashes’をレコーディングしました。

シャーリー・ホーンにとって非常に幸運で、その後のキャリアにまで好影響を及ばしたことは、このデビュー・アルバム’ Embers and Ashes’が、当時ジャズ界で既に高い名声を確立していたジャズ・トランペット奏者のマイルス・デイビスの注目を集めたことでした。マイルス・デイビスはシャーリーを公に賞賛し、ニューヨークの名門ジャズ・クラブ ビレッジヴァンガードでの自己のバンドの出演日の休憩時間に、シャーリーに演奏するように招いていた程でした。マイルスのシャーリーへの賞賛は、マイルスが当時からジャズ界で尊敬されていたことと、当時マイルスは他のジャズ・アーティストを公の賞賛を提供することはめったになかったため、2つの点で大きな反響を呼んでいた様です。

1962年には、シャーリー・ホーンは当時ジャズ界で大きな存在になりつ有ったマーキュリー・レコードと契約し、同社の副社長で著名なジャズ・アレンジャーでも有った、クインシージョーンズの注目を集めることになります。彼女がマーキュリー・レコードから発表した2枚のアルバムでは、中規模編成の伝統的なスタイルのジャズ・オーケストラが伴奏を務め、どちらのアルバムでも彼女はヴォーカルだけでピアノを弾くことは有りませんでした。その後も、ポップスの曲等を中心にしたアルバム等を録音していましたが、彼女をジャズだけでなく、人気のあるポッブスを歌うヴォーカリストに作り変える様な試みを、基本的には快くは思わなかった様で、後にそのような試みについて「私は征服する様な動きには身をかがめません」と述べたことも有ります。

この様な経緯も有り、ジャズ・ヴォーカリスト、ジャズ・ピアニストとしての自分の行いたい演奏機会に余り恵まれなかったことで、1960年代後半から1980年代初頭にかけては音楽活動から半ば引退。故郷のワシントンDCに戻り、娘のレイニーの育児中心の生活を送り、音楽活動の方は地元ワシントンで時々行っていただけだった様です。

しかし1978年にデンマークのジャズ・レーベルのスティープルチェイス(SteepleChase)レコードが、故郷ワシントンD.C.に戻っていたシャーリー・ホーンに声をかけ、著名ドラマーでシャーリーも長年面識の有ったビリー・ハートと、やはり著名ベーシストのバスターウィリアムスと一緒にアルバムを制作することをオファーしたことで、事態は一転します。

このオファーに高いモチベーションを持ったシャーリーは、再びジャズ・ヴォーカリスト、ジャズ・ピアニストとしてのキャリアを再開し、同レーベルからの最初のアルバム’A Lazy Afternoonをが発表。その後も1978年から1984年の間に、SteepleChaseからは合計4枚のアルバムを発表しました。シャーリーはまた、オランダのノースシー・ジャズフェスティバル等、ヨーロッパや北米での大きなジャズ・フェスティバル等にも出演を果たし、積極的にコンサート活動も再び展開して行くことになります。

1986年には、CBSソニーと日本向けアルバム制作のための1枚限定契約を結び、ニューヨークでレギュラートリオに加え、ゲストにジャズ・サクソフォンのフランクウェスを迎えたスタジオセッションのスタイルで、アルバム ’All of Me’  を録音・リリースしました。 その後も1987年には、ジャズの名門レーベルの一つヴァーヴ(Verve)レコードともレコーディング契約を結び、その年の5月にヴァーヴからの初めてのライブアルバム'I ThoughtAboutYou'をハリウッドでレコーディング。その後も生涯に同レーベルのために合計11枚のスタジオ・アルバムとライブ・アルバムをリリースしました。これらVerveレーベルでの活動期間がシャーリー・ホーンにとっては、最も多くのアルバムが販売されて商業的にも成功し、そして最も多く世界中のジャズ・ファンの注目を集めた時期になりました。

シャーリー・ホーンのデビュー・アルバム’ Embers and Ashes’を気に入り、彼女のことを賞賛してくれたマイルス・デイビスは、その後もシャーリーの活動に興味を持ってくれていた様で、1991年発表のアルバム「ユー・ウォント・フォーゲット・ミー」では、マイルスとしては非常に珍しく、サイドメンとして録音に参加、共演をしています。

今回ご紹介する『I Remember Miles(アイ・リメンバー・マイルス)』は、シャーリー・ホーンのデビュー以来、彼女のアーティストとしての才能を賞賛し、共演等を通じ音楽活動を応援してくれ、また彼女自身も非常に尊敬し音楽的にも影響を受けていたジャズ界の巨人の一人マイルス・デイビスへのトリビュート・アルバムになっています。

このアルバムでは、シャーリー・ホーンはヴォーカルと、ピアノも自ら演奏し、ベースにはマイルス・デイビスとの共演で名高い著名ベーシスト ロン・カーター、ドラムには同じくマイルスと共演経験の有るアル・フォスターを迎えてピアノ・トリオを組み、そしてトランペットにはロイ・ハイグローブ、ハーモニカにはトゥーツ・シールマンスと言う各楽器の第一人者と呼ばれる様な著名アーティストを中心とした豪華なゲストを含み布陣で録音に臨み、マイルスの名演で知られる名曲を中心に、マイルスへの想いがこもったことを感じさせる様な情感豊かな歌唱を繰り広げています。そしてこのアルバムでシャーリー・ホーンは、第41回グラミー賞のベスト・ジャズ・ヴォーカル歌唱賞を受賞しています。

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 ダウンロード


シャーリー・ホーン


Shirley Horn


アイ・リメンバー・マイルス


I Remember Miles


このアルバムは、シャーリー・ホーンが1998年64歳の時に録音し、発表したアルバムです。曲の方は、このアルバムが1991年に亡くなったマイルス・デイヴィスに捧げられたトリビュート・アルバムで有ることから、マイルス・デイヴィスが生前に遺した演奏で、ジャズ界では名演として取り上げられていることの多い「My Funny Valentine(マイ・ファニー・バレンタイン)」「Summertime(サマー・タイム)」等が収録されています。

BarBarBar音楽院は、長年ジャズの街横浜で、現役一流ジャズ・アーティストの講師陣によるレッスンを提供して参りましたが、今当院でジャズ・ヴォーカルや、ジャズ・ピアノ、ジャズ・ベース、ジャズ・ドラム、ジャズ・トランペット、ジャズ・ハーモニカ等のレッスンを受けてけている方、そしてこれから当院でこれらのレッスンを受けようと思っている方には、このアルバムはジャズのスタンダード曲も数多く収録されていますので、参考用に是非お薦めしたいと思います。

 

<収録曲>

1.My Funny Valentine

2. I Fall in Love Too Easily

3. Summertime

4. Baby W0n't You Please Come Home

5. This Hotel

6.I Got Plenty o' Nuttin'

7.Basin Street Blues

8.My Man's Gone Now

9.Blue in Green

10.Jump For Joy

 

 
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