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2021.01.13ブログ

今月お薦めの1枚:ジャズ・器楽編~ジミー・コブ「リメンバーリング・ユー(Remembering U)」

今月お薦めの1枚~ジャズ・器楽編は、1950年代後半にマイルス・デイヴィスのグループに加入以来、多くの著名アーティストと共演し、常にジャズ・ドラムの分野に於いて第一線で活躍し、数多くのジャズ界の歴史的名盤の録音にも参加して来たジミー・コブが、晩年率いていた自己のグループの演奏で録音し、2016年に発表して高い評価を得たリーダー・アルバム「リメンバーリング・ユー(Remembering U)」を選び、ご紹介したいと思います。

ジミー・コブは1929年1月20日にワシントンD.C.で生まれました。若い頃からジャズを聴くことに熱心で、ニューヨークのバートランド等のジャズ・クラブからの演奏を放送していた、当時のジャズ番組の名司会者シンフォニー・シッドの番組等を深夜まで熱心に聴いていた様です。

その内にジャズ・ドラムの演奏技術を学び、1950年21歳の時にプロのジャズ・ドラマーとしてのキャリアをスタートさせます。 その後、ジミーの繊細なシンバル・レガートや安定したテクニックに基づく音楽性に溢れるジャズ・ドラムの演奏は、ジャズ・ボーカリストのダイナ・ワシントン、ピアニストのウィントン・ケリー、サックス奏者のキャノンボール・アダレイ、フランク・ウェス、ベーシストのキーター・ベッツ等、当時ジャズ界で人気を誇っていた多くの著名アーティストの関心を集め、若くしてこれらのアーティストと共演を果たします。

その後 共演を通じてジミー・コブのドラム演奏に感銘を受けていたジャズ・サクソフォン奏者キャノンボール・アダレイからの推薦を受け、1958年29歳の時にマイルス・デイビスのグループに加入することになります。 そしてこの加入を機会に、ジミー・コブは更にトップ・アーティストとしての地位を着実なものにしていきます。

ジミー・コブの堅実な演奏を気に入ったマイルス・デイビスのグループでは、数多くのアルバム録音に参加していますが、最も有名な録音参加作品は、1959年に発表され、ジャズ史の中でも歴史的名盤の一つとして称えられることも多い「Kind of Blue(カインド・オブ・ブルー)」と言われています。その他にも「Sketches of Spain(スケッチ・オブ・スペイン) (1960)」「いつか王子様が(Someday My Prince Will Come )(1961)」「Miles Davis at Carnegie Hall (カーネギー・ホールでのマイルス・デイビス)(1962)」「In Person Friday and Saturday Nights at the Blackhawk, (1960)」等のマイルス・デイビスがジャズ界に遺した数多くの名盤の録音に参加しています。

ジミー・コブはマイルスのグループに約5年間在籍していましたが、1963年に当時若手ドラマーとして話題を集めていたトニー・ウィリアムスがマイルスに連れてこられた時に、マイルスのグループを去ります。その後は、ジャズ・ピアニストのウィントン・ケリーとジャズ・ベーシストのポール・チェンバースとトリオを結成しますが、どちらもマイルス・デイビスグループの元メンバーで、このメンバーでのリズムセクションはジャズ史上最も素晴らしいリズムセクションとして高い評価を受けています。このトリオでは1960年代の末に解散する迄、ジャズ・ギターのケニー・バレルや、ジャズ・トロンボーンのJ. J.ジョンソン等、各楽器のレジェンドとして名高いアーティスト達とレコーディングし、多くのアルバムを発表しています。

このトリオ解散後も、ジミー・コブは、ピアノのハンク・ジョーンズとベースのエディ・ゴメスと一緒に、当時日本でも人気の高かった「グレイト・ジャズ・トリオ」に参加しました。また1970年代には、ジャズ・ヴォーカルの大御所サラ・ヴォーンと一緒にツアーを行い、この共演活動でも、ヴォーカルを引き立たせるジミー・コブの繊細なシンバル・レガートや安定したテクニックに基づく音楽性は高い評価を受けています。

その後、ジミー・コブは、スタンフォード大学、ノースカロライナ大学グリーンズ・ボロ校、バークリー音楽大学等で教鞭を執る一方、ジャズ・ベースのロン・カーターや、ジャズ・サックスのジョージ・コールマン、ジャズ・ギターのマイク・スターン等、かつてマイルス・デイビスのグループに加入していたアーティストばかりと一緒にマイルスへのトリビュート・アルバム「4ジェネレーションズ・オブ・マイルズ(Four Generations of Mikes)」を発表したり、自己のグループを率いて各地にツアーする等、昨年2020年92歳の生涯を閉じる直前まで、精力的に演奏活動を行っていました。

今回ご紹介する「リメンバーリング・ユー(Remembering U)」は、ジミー・コブが亡くなる4年前の2016年、88歳の時に発表されたアルバムで、この僅か2年後に49歳の若さで逝去した21世紀を代表するジャズ・トランペット奏者の一人、ロイ・ハーグローブが前面にフューチャーされています。そして録音は数多くの名盤のレコーディングに参加したエンジニアとしてジャズ史上に名前を刻んでいるルディ・ヴァン・ゲルダーの手によるもので、このアルバムが、図らずもこのアルバムが録音された同じ年の夏に91歳で亡くなったルディ・ヴァン・ゲルダーの最後の遺作となりました。

 

JimmyCobbAlbumCover-Remembering_U


ジミー・:コブ
Jimmy Cobb


リメンバーリング・ユー
Remembering U


このジミー・コブのリーダー・アルバムでは、トランペットにはロイ・ハーグローブ、サクソフォンにジャヴォン・ジャクソンをゲストに迎え、ピアノにはロイ・ハーグローブの最後のグループにも参加しており、数多くの著名アーティストからの評価が高いニューヨーク在住の新進気鋭の日本人ピアニスト海野雅威(※)、ベースには著名ジャズ・サクソフォン奏者デーブ・リーブマン・グループ等への参加で注目を集めているパオロ・ベニデッテイ二が参加しています。
収録曲の方は、数多いジャズ・アーティストが取り上げて来たスタンダード曲「Willow Weep for Me」や、マイケル・ジャクソンの名曲「I Just Can't Stop Loving You」等、様々な曲が全12曲収録されており、リーダーのジミー・コブを中心に、参加しているアーティストはいずれも好演しています。

BarBarBar音楽院は、長年ジャズの街横浜で、現役一流ジャズ・アーティストの講師陣によるレッスンを提供して参りましたが、今当院でジャズ・ドラムやジャズ・ピアノ、ジャズ・ベース、ジャズ・トランペット、ジャズ・サクソフォン等のレッスンを受けている方、そしてこれから当院でこれらの楽器のレッスンを受けようと思っていらっしゃる方にも、このアルバムはジャズのトップ・アーテイストによる名曲の演奏が多く収録されていますので、ご参考用に是非お薦めしたいと思います。

 

< 収録曲リスト>

"Eleanor"
"Pistcchi0"
"Man in the Mirror"
"Remembering U"
"JC's AC"
"Composition 101"
"I Just Can't Stop Loving You"
"Willow Weep for Me"
"W.K."
"Cedar's Rainbow"                                                                                                                               "I Don't Wanna Be Kissed"                                                                                                                 "Cobb's Belle"

(※)このアルバムにピアニストとして参加している海野雅威氏は、昨秋ニューヨークの地下鉄の駅構内で、不運にも面識のない暴漢集団からの突発的暴行に遭い、鎖骨や腕の骨折、全身打撲の重傷を負ってしまいました。現在ピアニストとしての復帰に向け、加療・リハビリに努められていますが、BarBarBar音楽院と致しましても、2006年の横浜ジャズ・プロムナード・コンペティションでグランプリを受賞したことも有る同氏の1日も早い回復と、ジャズ・ピアニストとして復帰されることをお祈りしたいと思います。
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