営業時間12:00~23:00

BarBarBar音楽院 045-681-5667

for Students
お知らせ

2023.05.19ブログ〜今月お薦めの1枚 ジャズボーカル編

今月お薦めの1枚:ジャズ・ヴォーカル編~シーラ・ジョーダン『ストレート・アヘッド(Straight Ahead) 』


今月お薦めの1枚~ジャズ・ヴォーカル編は、1950年代から2000年代初めに至るまでの半世紀以上もの間、ジャズ・ヴォーカリストとして高い歌唱力、表現力だけでなく、チャーリー・パーカーを始め、伝説の著名インスツルメント奏者等の共演の中で培ったスキャット唱法等で幅広い層に人気を博したシーラ・ジョーダンが、高齢になった後も精力的に活動する中で、2005年77歳の時に制作、発表したアルバム『ストレート・アヘッド(Straight Ahead) 』を選びご紹介したいと思います。

シーラ・ジョーダンーは,1928年11月18日にミシガン州デトロイトで生まれ育ちました。シーラ・ジョーダンを産んだ時に、母親はまだ17歳で、父親はアルコール依存症で虐待癖も有ったために、シーラは暫くは、ペンシルベニア州に在住の祖父母の元に預けられ育てられました.。その後15歳の時にデトロイトの母親の所に戻ったシーラ・ジョーダンは、既に音楽的才能を開花し始め、地元デトロイトのジャズ・クラブでヴオ―カリスとして歌い始め、その内にピアノ演奏も始める様になり、弾き語りのスタイルでの演奏活動も行ったいた様です。またデトロイトでは、当時全米で絶大な人気を誇っていたジャズ・アルト・サクソフォン奏者チャーリー・パーカーの曲に歌詞を付けて演奏するバンドにも参加しており、当時デトロイトに公演で訪れたチャーリー・パーカーにそのバンドのメンバーと会いに行き、歌唱を披露したことも有った様です。

この様に地元デトロイトでデビューし、演奏活動を続けていたシーラ・ジョーダンですが、1951年23歳の時にニューヨーク市に移住します。ニューヨークでは、当時革新的な理論と演奏法で注目を集めていたジャズ・ピアニスト レニー・トリスターノや、ジャズ・ベース奏者として人気を確立していただけでなく、ピアノの高い演奏技術も持ち合わせていたチャールズ・ミンガスからジャズの和声と音楽理論を学びました[。この様にジャズの基本を学ぶ一方で、シーラ・ジョーダンは自分が目指すものはチャーリー・パーカーの音楽としていました。 シーラ・ジョーダンと・チャーリー・パーカーは、1955年に彼が亡くなるまで親しい音楽仲間としての関係を築いていて、彼女は彼を自分にとっての音楽の指導者の一人と呼んでいた様です。 そしてニューヨーク移住2年後の1952年に、シーラ・ジョーダンはチャーリー・パーカーの楽団でピアノを演奏していたデューク・ジョーダンと結婚することになります。

2012年84歳の時に、ジャズ専門誌ワックスのインタビューで、半世紀以上前の1951年に、地元デトロイトから当時ジャズ、特に新ジャンルビーバップのムーブメントが起こっていたニューヨークに移った理由を尋ねられたシーラ・ジョーダンは、「バード(チャーリー・パーカーの愛称)を追っていたのだと思う」と答えました。そしてチャーリー・パーカーの名曲の一つ「Chasin' the Bird」という曲は彼女のために書かれたのかと尋ねられたとき、シーラ・ジョーダンは「いいえ。その噂がどのようにして始まったのかは知りません。」と答えた様です。

1960年代初頭、シーラ・ジョーダンはニューヨークのグリニッジ・ヴィレッジに有るジャズ・クラブ「ページ・スリー・クラブ」で、革新的な演奏法で注目を集めていたジャズ・ピアニストのハービー・ニコルズと共演し[始め、またニューヨーク市の他のバーやクラブでも演奏していた他、1962年、彼女は理論派ジャズ・ピアニストとしてジャズ界で注目を集めていたジョージ・ラッセルと協力し、彼のリーダー・アルバム『アウター・ビュー(リバーサイド・レコードから発売)』の収録曲「ユー・アー・マイ・サンシャイン」でヴォーカリストとして参加。 また同年後半に彼女はアルバム『ポートレート・オブ・シーラ』を録音し、ブルーノートから発表されました。 ジャズ・ピアニスト スティーブ・キューンとの長期間に及ぶコラボレーション活動も丁度この頃1960年代初頭に始まりました。 その他、シーラ・ジョーダンは実験的な音楽活動を行っていたジャズ・アルトサクソフォン奏者ドン・ヘックマン(1や、独自の音色・演奏スタイルで人気の有ったジャズ・アルトサクソフォン奏者リー・コニッツ、前衛的な自作曲で演奏活動を行っていたジャズ・トロンボーン奏者ロズウェル・ラッドら、数多くの創造性の高いアーティスト達と共演し、着実にジャズ・ヴォーカリストとしての地位を築き始めると共に、その後のシーラ・ジョーダンの創造性の高いヴォーカリストとしての活動の礎がこの時期に固められました。しかし1962年34歳の時に、ジャズ・ピアニスト デュ―ク・ジョーダンと10年間の結婚生活の後に、デュ―ク・ジョーダンの薬物中毒が主な原因で離婚したことで、残念ながら1960年代のほとんどの間、シーラ・ジョーダンは娘を育てるためにジャズ・クラブでの演奏活動から身を引いてしまい、演奏活動としては、時々教会で歌う程度でした。そして 生計を立てるために彼女は20年間タイピストおよび法務秘書として勤め始め、1980年代に入り58歳になるまで音楽に集中し、本格的に演奏活動を行う時間は、残念ながらほとんどなかった様です。
この様に演奏活動からは遠ざかっていたシーラ・ジョーダンですが、この間の1974 年に、ニューヨーク市立大学から教員の仕事をオファーされ、それを受けて1978 年から 2005 年までそこで教鞭をとりました。 そして2006 年、彼女はマンハッタンクラブ協会 (MAC)から 生涯功労賞を授与され、音楽非常勤教授としての 28 年間を祝いました 。  またシーラ・ジョーダンは更に指導者としての活動の幅を拡げ、ニューヨーク市立大学だけでなく、マサチューセッツ大学アマースト校とバーモント・ジャズ・センター、インタープレイジャズ・アンド・アーツ等で教鞭をとり、また国際的な規模で行われているワークショップでも指導を行って来ました。

この様にジャズ教育者としては活動するものの、演奏活動は控えていたシーラ・ジョーダンですが、少しづつ演奏活動を再開し始め、1975年にはアルバム『コンファメーション』を録音、発表した他、その 1年後には、ノルウエーのジャズ・ベース奏者アリルド・アンダーセンとのデュエット・アルバム『シーラ』をスティープルチェイス・レーベルからリリースしました。 1980年代に入ると、本格的に演奏活動を再開し、ジャズ・べ―ス奏者でジャズ・ヴォーカリスト クリス・コナーやジャズ・テナーサクソフォン奏者 ズート・シムスら著名ジャズ・アーティスト達との共演で知らfれるハーヴィー・Sとデュオとして活動し、いくつかのレコードで発表しました。

シーラ・ジョーダンはビバップ・ジャズやフリージャズのジャンルでも演奏や作曲活動続をけ。 前述のアーティスト達に加えて、ジョージ・グランツ・コンサート・ジャズ・バンドや、ジャズ・ベース奏者キャメロン・ブラウン、スティーブ・スワロー、ジャズ・ピアニストで作曲家のカーラ・プレイともレコーディングで共演し、アルバムを発表しています。 その活動はアメリカ国内だけにとどまらず、英国でも、元ジョン・ダンクワース・バンドのボーカリスト、フランク・ホルダーとも共演したりしています。

シーラ・ジョーダンは現在も存命で、90代半ばになった今は、さすがにジャズ界の第一線から退いていますが、長年のジャズ・アーティストとジャズ教育者の功績が称えられ、2012年にNEAジャズマスター賞を受賞しています。また彼女を同じくジャズ・ボーカリストでジャズ教育者のエレン・ジョンソンは、シーラ・ジョーダンの伝記『ジャズ・チャイルド:シーラ・ジョーダンの肖像』を執筆し、2014年に出版されました。









今回ご紹介する『 ストレート・アヘッド(Straight Ahead)』は、2005 年 シーラ・ジョーダンが77歳の時に録音され、スプラッシュ・レコードから発表されたアルバムです。





===================================

















シーラ・ ジョーダン





Shiela Jordan





ストレート・アヘッド





Straight Ahead





2005年 シーラ・ジョーダンが77歳の時に録音され、スプラッシュ・レコードから発表されたアルバムです。 このアルバムでは、シーラ・ジョーダンと同様に、絶えず革新的な音楽性を追求していた、イタリア・ジャズ界の代表的アーティストで有ったジャズ・トランペッター パオロ・フレスや、パオロ・フレスと数多く共演していたロベルト・シペリ率いるトリオをバックに、シーラ・ジョーダンは、I Thought about you等のスタンダード曲を中心とした全11曲を、77歳とは思えない豊かな声量を駆使し、斬新なアプローチで歌い上げています。





BarBarBar音楽院は、長年ジャズの街横浜で、現役一流ジャズ・アーティストの講師陣によるレッスンを提供して参りましたが、今当院でジャズ・ヴォーカルやジャズ・ギター、ジャズ・ピアノ、ジャズ・ベース、ジャズ・ドラム、ジャズ・サクソフォン、ジャズ・トロンボーン等のレッスンを受けてけている方、そしてこれから当院でこれらのレッスンを受けようと思っている方には、このアルバムはジャズのスタンダード曲も多く収録されていますので、ご参考用に是非お薦めしたいと思います。





<収録曲>





1.I Thought About You





2.You Must Believe In Spring





3.You Came





4.Straight Ahead





5.Like Someone In Love





6.The Meaning Of The Blues





7.The Thrill Is Gone





8.The Promise Of You





9.I've Never Been In Love Before





10.So Many Stars






BarBarBar音楽院